特養入所に結び付く家族って?
特養相談員が特養に入所する方を探すときに一番重要なポイントは何だと思いますか?
もちろん本人の状態も重要です。
でも、本人以上に見られているのは家族だって知っていますか?
入所するのはおじいちゃん、おばあちゃんなのに見られているのが家族ってどういうことと思うかもしれません。
しかし、どんなに本人が良くても家族によっては入所をお断りすることも多々あります。
家族によっては特養に入れないってどういうこと?と思われると思います。
これは施設側からの意見になってしまいますが、施設側としてもクレームや裁判などの”トラブル”は避けたいというのが本音です。
この”トラブル”とはどういうものでしょうか。
例に出すと、家族によっては些細なことでクレームを多く言う家族もなかにはいます。もちろん施設側の対応が悪いのであれば、施設側が改善する必要があるのですが、なかにはおかしなクレームを言う家族もいます。
高齢者は年齢を重ねている分、身体も弱まっています。施設でできる最善の医療と介護は行いますが、寿命を避けることはできません。
え?と思う方がいるかと思いますが、時々、自分の親は死なないと思っている家族も実際います。
特に突然ぽっくりと亡くなられた場合、高齢者は当然ぽっくり亡くなってしまうリスクは毎日あるのですが、そこを理解されずに「なんで死んでしまったんですか?死なせたんじゃないんですか?」などと言ってくる家族。
食事も摂れなくなって、点滴を行い老衰で迎えた寿命に「もっと治療ができなかったんですか?」などと言ってくる家族。
様々いますが、高齢者を預かっている身としては、寿命と施設側の対応の限界を理解していただきたいところです。
また、家族とのトラブルで多いのが事故。
転倒されての骨折やケガ、窒息など事故にもさまざまありますが、不可抗力の事故も多く存在します。
高齢者になると、特に女性は骨が脆く少しの力で骨折を起こしやすくなります。なかには、咳をしただけであばらを骨折する方もいます。
おむつ交換や車椅子への移乗など、職員が利用者の身体を動かす場面は多くあります。
その際に、ほんのちょっとの動作で骨折をされる方がいます。
骨折するからっておむつ交換しないわけにはいかないですよね。それに咳をするのを止めることもできないです。
この不可抗力な骨折に対し、施設側が骨折させたと言ってくる家族もいます。
なかにはこのようなトラブルを裁判にもっていく家族もいると聞きます。
施設側としては当然、このようなトラブルは避けたいのです。
社会福祉法人といっても慈善事業ではありません。
区や市からの措置でもありません。
家族と施設の合意の上での契約なのです。
施設側にも対応できることと対応できないことがあることをご理解いただきたいです。
さて、利用者の家族と一番関わるのは相談員。
相談員には家族を見極める力も必要です。
入所前には、入所を希望する家族と話す機会が何回もあります。
問い合わせの電話、見学、入所面談、様々な場面で相談員は家族を見ています。
神経質な家族でないか、自分たちの権利ばかり主張していないか、寿命について理解されているか、様々なポイントで家族をチェックします。
あまり言ってしまうと身構えてしまう家族の方もいると思いますが、上記のトラブル家族はたまにいらっしゃる程度なので、多くの家族はご理解あります。
逆に家族からの視点で言えば、施設の対応を見てみてくださいね。
特に看取りについての方針は、今後の施設生活で大きく変わりますのでよく聞いてみてください。
特養を探している家族の方は毎日必死に介護をしていらっしゃると思います。
その限られた隙間時間の中で施設を探すのは大変だと思いますが、自分たちに合った良い施設を見つけてください。
家族も施設側も人間です。
お互いが良い関係を築けるといいですね。